各アイテム紹介
野球カステラの形は、明治期から大正期の野球用具を模したものと思われます。キャッチャーマスクのようにタイプが複数あるものや、インジケーターからかばんへ進化を遂げたものもあり大変興味深いです。ここでは各アイテムの特徴やストーリーを紹介します。
◆グラブ
指と指とが紐でつながれていないセパレートフィンガー、ウェブ(親指と人差し指の間の部分)が簡素など、古いグラブに見られる仕様と同じ。
手の甲のストラップにボタンが付いているタイプのものは、当時の実物のグラブとはボタンの位置が左右逆。最初の焼型を製作した際に何らかの理由で逆になり、それがそのまま現在まで複製されてきたものと思われる。
◆キャッチャーミット
厚みのある本体に手を入れる部分を貼り付けたような古いキャッチャーミットに見られる仕様と同じ。
指と指とが紐でつながれていないセパレートフィンガー、ウェブ(親指と人差し指の間の部分)が簡素など、古いキャッチャーミットに見られる仕様と同じ。
◆バット
実物のバットのトレードマークが刻印されている部分に、各店共通して(平山製菓を除く)「BAT」とアルファベットが入っている。
店によって大きさに差がある。
◆ボール
V字状の縫い目が忠実に再現されているもの(写真上)と線状に表現されているもの(写真下)がある。
縫い目がある店では焼型の境目で縫い目の向きが逆になっている。バット同様に店によって大きさに差がある。
◆帽子
8枚の布を縫い合わせて本体部分を形作る「8パネル」の他、ショートバイザー等の古い帽子の仕様と同様となっている。
店によっては本体フロント部分やバイザー部分にアルファベットの「A」の文字が入る(写真下)。十字堂のみ「H」の文字が入る。いずれも意味は不明。
◆キャッチャーマスク
現在のキャッチャーマスクの形に近いタイプのものと剣道の面に似ているタイプ、ガードが左右に張り出しているタイプの大きく分けて3種類がある。
裏側にマスクをかぶるためのベルトや紐が再現されているものもある。
◆インジケーター
インジケーターは、審判がボールカウントを記録するための道具。
野球カステラのインジケーターはアウトカウントがなくボールとストライクカウントのみ。明治時代に早慶戦で使用された同タイプのインジケーターが野球殿堂博物館に所蔵されている。
本高砂屋の焼型のインジゲーターには唯一「1」「2」(1ボール2ストライク)と数字が入る。その他の店のインジゲーターの焼型では数字のところに上下を逆にした「T」が入る。
本高砂屋のインジケーターは、二つのダイヤルのギザギザまで再現されている。また、実物と同様に片面のみにカウントの表示がある。他の店では両側に表示がある。
▼野球殿堂博物館Twitter
https://twitter.com/BaseballHOF1959/status/1242629926857011201
◆かばん
何らかの理由によりインジケーターから進化したものと考えれる。
「B」「S」の文字はそのままで(十字堂のみ「H」「T」)、インジケーターの二つのダイヤルが一つになり、トランクの持ち手になっている。数字のところには上下を逆にした「T」が入る。
ダイヤルが二つのままでベルト付きのトランクのようになっているものもある。中央に「A」の文字が入る。意味は不明。
◆優勝カップ
蓋付きの優勝カップで月桂樹があしらわれている。優勝旗とセットの場合が多い。実物にある木製の台座部分は省略されている。
甲子園記念館に当時の優勝カップが展示されている。
◆優勝旗
片面に「優」、もう片面に「優」又は「勝」の文字がが見られる。旗の持ち手部分は省略されている。
野球殿堂博物館及び甲子園記念館に当時の優勝旗が展示されている。
◆アルファベット
「J」や「K」のアルファベット型のカステラが含まれる店もある。「K」三振?「J」JAPAN?謎が多い。
バットや帽子にもアルファベットが見られるのは、当時の外国文化の広がりが関係していると考えられる。
◆ファーストミット?
現在のところ十字堂のみで確認。キャッチャーミットをスリムにしたような形。実際のファーストミットとは仕様が異なるため、ファーストミットかどうかは定かではない。焼型を製造した際のエラーの可能性もある。